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edit/2014-11-23

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2014年 古文セミナーを終えて

2014古文セミナー

 本年度の古文セミナーを11月16日に修了しました。今回は紫式部日記から紫式部が和泉式部や、清少納言を評したあと(これは前回に読みました)、自分のことを呟き、宮廷での女としてどうあればいいかと書いているものです。
 思えば古文セミナーでは、カルチャーとして一緒に読むのではなく、まなび舎の理念でもある気づきにどうアプローチしていけばいいか、考えながらのセミナーでした。

 おとなが興味を持つ内容を探すことから始まりました。そこで村上天皇の中宮である安子と天皇の寵愛を受けた宣耀殿の女御とのバトルには興味をそそられるかなと思いました。宣耀殿の女御の才媛ぶり、美貌、天皇からの寵愛の受け方など難しいところは注をつけましたが、流れで読めるところは辞書を片手に、自分で訳をつけていきました。助動詞などには触れないつもりでも、打消しの「ず」は押さえました。また、主語を確定するためにも敬語の扱い方を学び、どう読むかを説明し、あとは自分でというスタイルを貫きました。

 当時の常識や清涼殿の構図など背景も図や図表を参考に、身近なものにできるよう工夫しました。安子とのバトルや、安子という人柄や、光源氏さながらの村上天皇の恋愛もみなさんの興味をぐっとっひきよせる題材でよかったと思います。9月9日の重陽の節句にちなみ、菊綿も飾り、千代菊のお菓子や、向月の白のお抹茶とともに、重陽の節句の中国でのいわれや、日本での習慣などの説明と共に枕草子、紫式部日記、雨月物語にでてくる節句の部分を訳して、いにしえの風習にふれるイベントもしました。

古文セミナー

 毎回参加してくださる、2名の方には、面白い、なるほど、と毎回喜んでもらえたように思います。セミナー最後の日には、1名の参加でした。紫式部日記はなかなか難しい。今でも使う言葉であるのに、古語とはその意味合いが違うものがたくさんあり、日記なだけに心のつぶやき的なニュアンスが難しいのです。紫式部が夫を亡くして寂しい身をのべているところ、「心すごうもてなす身とだに思ひはべらじ。~」とでてきて、「心すさんで自棄になる身とさえ思うまい。」という意味なのですが、「すごし」について話し合いました。古語には「すごし」は「気味が悪い、ぞっとするほど寂しい、殺風景だ、ぞっとするほどすばらしい」という意味があります。今のわたしたちが「すごい」といって褒めるのは、古語の「ぞっとするほどすばらしい」にあたるのだろう、という話になりました。では、ぞっとするほど寂しいはどこからくるのか、二人で探りました。相手を「すごい」と褒めることは、自分を振り返ると、自分にはない、あるいは自分には及ばないということだから、自分の心がさびしいのではないか、というのが私の見解。相手をすごいとほめながら、自分の心に冷たい風がふかない?ということで、ふに落ちたのでした。その時、セミナー参加者が「私が古文セミナーに参加したのは、たくさんの日本の言葉に触れ、その意味を知ったり、解説を聞いたりして、すごく心が豊かになる気がしたからです。はずかしという言葉だって、自分が恥ずかしくなるくらい相手がすばらしいという使い方など、ダイレクトに意味を伝えない複雑な言葉のニュアンスは、日本の特徴で、日本人の特性でもあると言葉を通して理解できた。なんて素敵な言葉の使い方があるんだと古語に癒されたりしたのは初めての体験だった。」と言ってもらえて、私が古文を学習して分かったことを共有できた思いがしました。

古文セミナー

 そういえば此の間、字幕でおなじみの戸田奈津子さんの講演会に行った時の話を思い出しました。最近字幕の漢字を、最近の若者は読めないからひらがなにしてという映画会社の要望があることについて、漢字とひらがなが混じっているから、短い字幕でも一瞬にして意味をとることができるのだ、とおっしゃっていました。諸外国では、異国の映画は何か特別なことがない限り、ほとんど吹き替えだそうです。日本に字幕が定着したのは、この漢字とひらがなを自由に使える、理解できる、つまり識字率が高いという誇らしい国民だからだそうです。他の国では、話せるけど読めない、書けないとか普通にある、日本人は読み書きそろばんで鍛えられたから概ね読めるので、外国の女優や男優の本物の声を聞くことが出来る、これはすばらしいことだ。ですが、最近漢字を知らない若者が増え、慣用句や熟語の意味がわからない若者が増えたことは、日本人のアイデンテティをもゆるがすゆゆしきことだと訴えていました。国際化といったって、日本の文化を大事にしないことには非常に危機感を抱いているとおっしゃっていました。まずは、日本語をしっかり学習してから、外国語をまなびましょう。語学は難しい単語を覚えることだけではなく、簡単な英語の言い回しを使ってこそだ、単語は重要ですが、使って覚えていくことが大事とおっしゃっていました。

 そんなことを思い出しながら、子どもたちが、日本の言葉を大事に使える場面を意識的に作っていかなければならないなあ、と感じました。

文責:小夜子



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